こんにちは、獣医師の藤原(嫁)です。
学校の再開、夏休み云々でコラムの更新が遅れてしまい、気が付けば早くも10月、、、
はい、完全に言い訳でございます、、、
前回のコラム3では、動物の口腔内環境や歯石、歯垢(プラーク)、歯肉炎、歯周病についてお話させていただきました。
診療コラム3
歯周病は、放置しても自然に治ることのない進行性の病気ですが、治療と予防を行うことができます。
つまり、歯石と歯垢(プラーク)を除去し、歯周の環境を清潔にすることで歯周病は改善するのです。
では、この悪の根源とも言える歯石の除去処置(予防歯科処置)を当院ではどのようにして実施しているのか、ご紹介していきたいと思います。
なお、歯石除去処置は基本的に日帰りとなります。
~歯石除去処置の当日の流れ~
ヒトの場合と違って、犬、猫共に無麻酔下での歯石除去は大変危険であるため、全身麻酔が必須となります。
これは、動物の意識をなくすことで恐怖心と痛みを取り除くことと、処置の精度を高めるためです。
また、無麻酔下では歯周病の予防・治療に重要な歯周ポケット内の処置は出来ません。
もちろん、術前には血液検査等によって安全に麻酔がかけられるかどうかをチェックします。
①口腔内精査
口腔内を精査し、歯石、歯肉炎、歯周病の進行程度および腫瘤などの病変がないかどうか、全体的に観察します。
➁スケーリング
超音波スケーラーを用いて、細かい振動と水圧の作用で歯表面に付着した歯石や歯垢(プラーク)を除去します。
次に歯肉と歯の間の歯周ポケット内の歯石と歯垢(プラーク)を除去します。
この歯周ポケット内の清浄化作業こそが、歯周病の予防と治療のキーポイントとなります。
※この他に、重度の歯周病による動揺した歯や破折した歯など、温存が難しいと判断した場合には抜歯処置を行います。
③ポリッシング
仕上げにポリッシング(研磨)をすることで、歯の表面のエナメル質が滑らかになり、新たな歯垢(プラーク)や歯石が付着しにくい歯になります。
2種類の研磨剤を用いてポリッシングブラシとラバーカップで研磨していきます。
以上の工程で歯石除去処置は終了となります。
どうでしょう、このピカピカっぷり!!
処置後の飼い主様のお迎え時には、歯石の再付着をなるべく防ぐためにも、ご家庭でも行えるデンタルケアについてご説明させていただきます。
因みに、当院の過去ブログでもデンタルブラシについてご紹介しております。
私たち獣医師も日々の診察室での飼い主様との会話から、愛犬・愛猫の口腔内衛生に対する意識や関心は年々高まってきているように感じています。
これだけ口腔内衛生の重要性が取り沙汰されている昨今、定期的な歯石除去を行うことは長寿の秘訣であるとも言えます。
ワクチンやフィラリア予防などで来院される場合でも、獣医師による歯のチェックを行うことが出来ますので、お気軽にご相談くださいね。