こんにちは、舞子ペットクリニック獣医師の藤原(嫁)です。

 

 

前回のコラムテーマが犬の外耳炎でしたので、今回は猫ちゃんについてお話ししようと思います。

 

 

今日では完全室内飼育が主流になったことに加えて、獣医療のめざましい進歩によって猫の平均寿命も延びています。

 

その結果、ヒトと同じように猫でも高齢化が進んでいます。

 

当院でも、15歳以上の仔はさほど珍しくもなく、なかには成人式を迎えた貫禄ある猫さんが来院されることもあります。

 

しかし、ヒトにおいても健康体のまま100歳を迎えられる方がそれほど多くないように、猫でも同様にシニア期に入ると何らかの病気を抱えることが多くなります。

 

 

そこで注目していただきたいのが、毛並みと毛艶です。

 

これらはご家庭で簡単にチェックできる健康のバロメーターの一つとも言えます。

 

 

若い頃と比べて、、、

 

毛並みがパサパサで毛艶が悪くはないですか?

毛玉が多く出来ていませんか?

ベタついたり匂いが気になりませんか?

 

 

これらの原因の一つとして、毛づくろい(グルーミング)が出来ないことが挙げられます。

 

重度の口内炎(歯肉口内炎)や腫瘍があると、痛みでグルーミングをサボりがちになり、毛並みが悪くなってしまいます。

 

また、炎症によってあふれ出るよだれを前脚で拭うため、下の写真のように口周りや前脚がベタベタになることもよくあります。

 

 

写真:口内炎の猫

 

写真:歯肉部の炎症による潰瘍

 

 

そもそも猫は、起きている時間の半分を毛づくろいに費やすとも言われるほどキレイ好きで匂いに敏感です。

 

元来、猫は狩猟動物であり、狩りをして食べものを手に入れていました。

 

自分の匂いを獲物に悟られて逃げられてしまっては、、、狩りは失敗、獲物にありつけません。

 

猫にとって匂いを残すのはタブー、生き抜いていく為の毛づくろいなのです。

 

この野生時代の習慣が、現代のペット猫の生活スタイルでも残っているのです。

 

 

 

また、内臓系疾患が毛並みや毛艶の悪さの原因である可能性も考えられます。

 

高齢猫で多い慢性腎臓病もその一つであり、腎臓が悪くなると身体は脱水を起こすので皮膚は乾燥します。

 

その結果、皮膚の柔軟性が低下して被毛はパサついたりゴワついてしまいます。

 

 

写真:慢性腎臓病の猫

 

 

このように毛並みの悪化がみられる場合には、一見健康そうに見えても何らかの異常を抱えている可能性が高いのです

 

あれっ、そういえば最近、、、 おかしいな、、、 と感じられた場合はご相談くださいね。

 

また、家族の一員である猫さんが健康で長生きしてもらう為にも、年齢に合わせた定期的な健康診断をお勧めします。