こんにちは、舞子ペットクリニックの藤原(嫁)です。

まだまだ厳しい寒さが続いていますが、お正月を過ぎると「日の入りが遅くなった」と実感します。

毎日夕方の定刻にわんこのお散歩をされる方は特にそう感じられるのではないでしょうか。

そして、そういえば、、、最近お外が騒々しいなんてことはありませんか?


そう、夜行性動物であるネコたちの「うおぉ~ん」という、大きく低い特徴的な盛り声を夜中に耳にするような季節になりました。

 



我が家では、この外ネコちゃんたちの声を俊敏にキャッチした愛犬が、夜中に突然吠え立てることで私達家族の眠りが妨げられてしまう、、、というケースがこの時期は頻繁に起こります。


発情期を迎えたネコは、落ち着きが無くなり、大きな声で鳴いたり外へ出たがるようになります

 

飼い主さんもネコちゃんのこのような行動により、眠れなかったり、ご近所等への配慮で悩まれることも多いのではないでしょうか。

 


ネコの発情については、私達ヒトや犬とは違った3つの特徴があります

 


季節繁殖動物である。


日本などの北半球では、1~8月の日の長い時期が雌ネコにとっての繁殖季節にあたり、この時期に発情を繰り返します
ただし、家庭で室内飼育されているネコは、子育て中でない、栄養状態が良い、人工光の明るさなどの条件が揃えば一年中いつでも交尾、出産することができます。


交尾排卵動物である。


交尾排卵とは、雄ネコとの交尾による外陰部と膣への刺激により初めて排卵がおこることをいいます。
いわば精子を迎えるように排卵が起こるため、交尾をすればほぼ確実に妊娠します。
これに対して、自然排卵は、交尾刺激がなくても自然に排卵がおきる動物のことを指し、ヒトやイヌなどほとんどの動物がこれにあたります。


多発情型である。


これは、繁殖季節の間に何回も発情が起こることをいいます。
ただし、これは繁殖季節中に一定の周期で発情が繰り返される訳ではなく、多くの場合は、2~3週の間隔で2.3回の発情行動を繰り返し、1〜2ヶ月の間をおいて再び繰り返します。

 




ネコの身体が性成熟に達すると、上記のような特徴のある発情が始まります。
この月齢は、品種や飼育環境によっても異なりますが、一般的には、生後6~10ヶ月で性成熟に達すると考えられています。
しかし早い仔では、4ヶ月例で発情がおこることもあります。
また、短毛種のほうが、長毛種に比べて性成熟が早いことが知られています。

 


さて、上述したネコの『交尾排卵』についてですが、同じ哺乳類の私達ヒトやイヌの『自然排卵』と大きく違うのはなぜでしょうか?



実はこの排卵の違いには、それぞれの動物の生態が関係しているのです

 


イヌは元々集団生活を行う動物ですので、同じ群れの中には常に雄がいて、排卵のたびに交尾を行うチャンスがあります。
一方で、ネコやイタチの仲間は群れを作らずに単独行動をする動物であるため、周期的に排卵しても、その度ごとに雄に巡り会って交尾ができるとは限りません。
そのため、雄と出会ったタイミングで交尾刺激を受けることで初めて排卵するような仕組みが体の中に備わったと言われています。


「へぇー、そうなんだ!」と、思わず感心してしまいますよね。

 



繰り返しますが、交尾排卵動物であるネコは、発情期間はいつでも受精が可能となります


故に、一度外へ逃げ出しただけでも雄ネコとの交尾が行われれば妊娠してしまう可能性を持ち合わせています。


また、外へ出ることは交通事故にあったり、ケンカなどによる怪我、猫白血病ウイルスや猫エイズウイルスなどの伝染病への感染リスクも持ち合わせています


もし、赤ちゃんを産ませる予定がなかったり、外へ出たがって落ち着かないネコちゃんの様子を見ているのが忍びない、また鳴き声にお悩みでしたらぜひ避妊手術を考えてあげてください。


また、健康面でも避妊手術を行うことで、同時に子宮や卵巣の病気の予防にもなります


そして、何よりもネコ本人が発情周期に左右されることなく一年を通して穏やかな生活を送ることが出来ます。

仔ネコさんはもちろん、性成熟を迎えた成ネコさんで避妊手術をお考えの方も当院までご相談くださいね。